ASSA

どんな声も、置き去りにしない社会へ

構音障害者向け日本語音声コーパス JDSC を構築し、
音声AIのインクルーシブな未来を切り拓く研究プロジェクト

プロジェクトを知る
15時間
単一話者の録音データ量
7% 80%
音声認識精度の向上
12,000
収録された発話文の数

音声AIが「聞き取れない」声がある

現在の音声認識AIは、健常者の声を「標準」として開発されています。構音障害のある方の声は、AIにとって想定外の入力 ── つまり「ノイズ」として処理されてしまいます。

日本には約436万人の身体障害者がおり、脳卒中や神経疾患、加齢により後天的に構音障害を抱える方も少なくありません。先天性の障害を持つ子どもたちもいます。

技術が進歩しても、学習データに含まれない声は認識されない。この構造的な排除を変えるために、ASSAプロジェクトは生まれました。

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小笠原朝陽の挑戦 ── 15時間の執念

ASSAプロジェクトの原点には、一人の当事者研究者の存在があります。まずはこちらの動画をご覧ください。

構音障害と向き合った日々

小笠原朝陽は生まれつき顔周りの筋肉が弱く、発音が不明瞭になる構音障害を持っていました。「自分の声は、誰にも届かない」── そんな孤独のなかで、彼はテクノロジーに希望を見出します。

認識率わずか7%という現実

しかし、最新の音声AIに自分の声を入力した結果は、認識率わずか7%。10回話しかけても、1回も正しく伝わらない。健常者の声だけで作られたAIは、彼の声を「ノイズ」として処理していました。

「ないなら、自分がデータになる」

「データが足りないなら、自分が作ればいい」── 小笠原は半年間、ほぼ毎日マイクに向かい続けました。喉を枯らしながら記録した音声データは15時間、約12,000文。類を見ない規模の単一話者構音障害コーパスが誕生しました。

認識率80%への飛躍

この膨大なデータをAIに学習させた結果、わずか7%だった認識率は80%を超えるまでに飛躍。その成果は音声信号処理の世界最高峰の国際会議 ICASSP 2026 に採択されました。

小笠原朝陽 渋谷 小笠原朝陽 学会発表 小笠原朝陽 研究中 小笠原朝陽との対話

2026年3月17日、小笠原朝陽は日本音響学会での学会発表を終えたその日の夜、宿泊先のホテルで亡くなりました。この研究の完成を見届けることなく、志半ばでの旅立ちでした。

しかし、彼が15時間の録音に込めた執念と「どんな声も置き去りにしない社会を創りたい」という願いは消えることはありません。彼のニックネームである「あっさ」の名を冠したこのプロジェクトが、その遺志を受け継いでいます。

小笠原朝陽

小笠原 朝陽

おがさわら あさひ(2001 - 2026)
生まれつき構音障害を持つ当事者研究者。 2020年、岩手大学理工学部 知能情報コースに入学。 2024年、同大学院に進学。談宜育准教授のもとで音声認識の研究に取り組む。 専門外であるハードウェアの研究室から、独力で音声AIの専門家と繋がり、構音障害音声コーパス SS-JDSC を構築。半年間にわたり15時間・約12,000文を録音し、音声認識率を7%から80%超へと改善させた。 その成果は世界最高峰の国際会議 ICASSP 2026 に採択。神戸大学博士課程への進学も決まっていた。

日本語構音障害音声コーパス

JDSC(Japanese Dysarthria Speech Corpus)は、構音障害者の音声を大規模に収録・整備した日本語音声コーパスです。小笠原朝陽が構築した SS-JDSC をコアとし、将来的にはさらなる話者・症例の拡大を目指します。

🎙

大規模単一話者データ

15時間・12,000文という、単一話者の構音障害音声データとしては世界最大級の規模を誇ります。

📊

音声認識の精度向上

このコーパスを学習に用いることで、構音障害音声の認識率を7%から80%超へと劇的に改善できることが実証されています。

🌐

オープンな研究基盤

将来的に研究コミュニティへ公開し、世界中の研究者が構音障害の音声認識技術を発展させるための基盤となることを目指します。

学術的裏付け

本プロジェクトの成果は、音声信号処理分野の世界最高峰の国際会議に採択されています。

ICASSP 2026 採択

SS-JDSC: Single-Speaker Japanese Dysarthric Speech Corpus

IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing
2026年5月 スペイン・バルセロナ

🤗 Hugging Face Datasets

SS-JDSC データセット(公開ページ)

huggingface.co/datasets/JDSC-Project/SS-JDSC →

プロジェクトメンバー

高道慎之介
高道 慎之介
最高技術責任者
慶應義塾大学 准教授
博士(工学)

音声合成・変換、音声信号処理の研究に従事。奈良先端科学技術大学院大学で博士号取得後、東京大学を経て2024年より現職。IEEE ICASSP等の国際会議でセッションチェアを務め、20以上の論文賞を受賞。

談宜育
談 宜育
指導教員
岩手大学 理工学部 准教授

小笠原朝陽の指導教員。専門はコンピュータのハードウェア(CPU等)。専門外の音声AI研究に挑む小笠原を3年間にわたり支え、ICASSP採択への道を共に切り拓いた。

末永剛
末永 剛
クリエイティブディレクター
CyberAgent / 独立研究者
デジタルハリウッド大学大学院 客員准教授

共同研究者としてプロジェクトの企画・推進を担当。国内学会での小笠原との出会いをきっかけに、AI技術の社会実装とインクルーシブデザインの実現に取り組む。

CONTRIBUTORS — プロジェクトを支えるメンバー

永瀬
永瀬
ICASSP 2026 ポスター代理発表者
立命館大学 助教
Jianing Yang
Jianing Yang
共同研究者
The University of Tokyo
松崎
松崎
法務担当
長島・大野・常松法律事務所

参加・支援する

ASSAプロジェクトは、研究者・エンジニア・当事者・支援者、あらゆる立場からの参加を歓迎します。

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Discord コミュニティでは、プロジェクトの最新情報や研究の進捗をリアルタイムで共有しています。音声データの収集ボランティア、技術的なディスカッション、構音障害の当事者・支援者との交流など、さまざまな形で関わることができます。GitHub では音声収集アプリのコード開発やコーパスデータへの貢献も歓迎しています。

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suenagago31@gmail.com